私の大好きな言葉に「人は自分の決めたルールで裁かれる」というのがある。
私が人とつきあうときには、どの程度親しくなるかは自分では決めない。なぜなら相手が決めてくれるからだ。
高校のときに、結構親しいと思っていた友人とふざけていたときに、彼の靴下がほつれた。
するとその友人は「弁償しろ」といった。
なるほど、そういう付き合い方をしたいのだなと思ったから、私はそれ以後親しい付き合いはしなくなった。
仕事で九州に行ったときに、TV大分の、別府支局長をしていた人と知り合いになった。
この人は私たちの歌を聴いてこういった。
「お前たちは何で延岡なんだ。大分なら、もっと応援のしようもあるものを」
そういいながらも、いくつかのイベントに出演させてもらった。
そして、親しくしているという酒造の会長を紹介してくれたのだが、その会長から、焼酎のCMソングを作ってくれないかと言われた。
一生懸命に作って曲を渡したところ、聴きもしない内にギャラを払ってくれた。当時としてはずいぶん多いギャラだった。
ところがいつまでたってもCMの流れてくる様子がない。
私ははたと気がついた。
支局長も会長も、私たちを応援してくれたのだ。だからCMソングだと理由をつけて、私たちに破格のギャラをくれたのだ。
だから私は、この二人の名前を忘れない。
もしも私たちが有名になったら、何時かきっとこのお返しをしなくては気が納まらない。
この二人は、私たちと親しい付き合いを望んでいたのだから。